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校長室だより

聖徳大学附属小学校

校長   佐藤 幸雄                                                

 本日の金環日食観察のこともありましたので、当日の土曜日は雨で順延には絶対ならないようにと願っていました。幸い1週間前から天気予報では晴れとなっていてずっとその予報が変わりませんでしたので少し安心していました。その通り、いやそれ以上の五月晴れの中、第26回運動会が滞りなく終了できましたこと、ご参観くださったご来賓、保護者の皆様、また、運営にご尽力をいただいた評議員の方々のおかげであると感謝申し上げます。ありがとうございました。

 朝礼台の横でじっと全体の進行の様子や実習生、先生方の動き、そして子ども一人一人の表情を見ていて胸に湧き上がってきた思いは次のような言葉になるでしょうか。“日常の教育活動では得られない大きな行事の持つ、晴れの場の力、本番の教育力”とでも名付けたくなるようなことでした。一人一人の内面も含めて大きな全体が成長していくような感覚を味わいました。少なくとも自分の精神的成長への端緒をそれぞれがつかんだのではないでしょうか。

 明治の学制改革以来、運動会が行われてきました。本校の昨年度の英語のエリック先生に尋ねても今年度のケビン先生に質問してみてもアメリカやアイルランドではこのような学校行事はないそうです。連綿と日本の津々浦々の小学校で続いていく運動会の教育的価値がわかる気がします。この高揚感と一体感、日本人の心情にマッチするところ大なるものがあるのでしょう。大人になっても学校給食の思い出と並んで懐かしさがこみ上げてくる人も大勢いるのではないかと想像します。

 練習期間中、先生方の指導のもと、子ども達はそれぞれの種目の練習を生き生きと取り組んでいきました。総合練習では私から、児童には「一つ一つの今に全力で取り組もう」ということ、4~6年の係児童、実習生、先生方には「きびきび動こう、移動は走ろう、尻はつけないこと」などめあてを示しました。運動会成功の鍵は影でも表でもやはり先生方(本校の場合は実習生も含めて)が握っているからです。総合練習は極めて大切なプロセスです。それまでの練習成果を見せ合って本番通り進行させながら、質的に向上させるための課題を見つけ出さなくてはなりません。

 総合練習を見て、演出的に手を加えればもっと指導の成果が高まることがわかってきました。演出的とは、この場合では“間”の意識のことです。空間の間、時間の間です。列の間隔をもっと広げること、指示の言葉をもっとたたみかけていく場面があることなど、練習時間の限られた中でも改善できることです。各種目でも細かくみていくとたくさんの改善点を確認し合うことができました。

 本番ではどうだったでしょうか。私には、運動会を少しでも質的に向上させて成功させようという先生方の熱意と向上心、教育実習の機会に小学校の現場の生きた仕事をどん欲に吸収しようという実習生の意欲を大いに感じてたいへんうれしく思いました。それらの働きの中で子ども達が一層光り輝くことができたのではないかとも思いました。

 さらに本校の教育にふさわしい運動会へと磨き上げて、子どもの成長に資することのできる行事にしていきたいと考えます。皆様のご意見もお聞かせくださるとありがたく存じます。本日アンケート用紙を配布しました。ご提出にご協力ください。



聖徳大学附属小学校

校長   佐藤 幸雄

 おととい土曜日の午後、小学校受験のための幼児塾主催保護者セミナーでお話しする機会をいただきました。“私の教育観と聖徳大学附属小学校の教育”という演題のつもりで話してまいりましたが、学校説明の方は、パワーポイントを本校の広報部主任、長谷川先生に用意してもらい写真を見せながら語っていきました。

 終わって駅まで送ってくださる車中で、私の話の出来を塾長先生に尋ねてみました。校長になりますと、やったことの評価を進んで話してくださる方はどうしても少なくなります。皆さん遠慮するのでしょうね。自分からも聞かなくなっていくのが普通のようです。今なら校長になりたてなので聞きやすいですし、塾長ですから仕事柄大勢の校長先生のこのようなお話しをお聞きになっているので、専門家からみてどういう判断をされるのか、それを聞いてこれからの話の参考にしてみようと考えたからでした。

 思った以上に話してくださいました。いくつも収穫がありました。その中に、「先生、もっと会食のことはお話しした方がよいですよ」というアドバイスがありました。もちろん私は会食についても話しています。本校の大きなポイントですから。しかし、塾長先生は、さらに土曜日も会食が出ること、きちんとした本物の食器でしかも温かいごはんが食べられること、「これは他の小学校ではありえないのですから。6年間お弁当をつくることはお母さんにとってたいへんですから」とおっしゃってくださいました。「それでいて会食費が1ヶ月1万円かからない。それもさりげなく伝えるといいと以前から思っていました」と感想を述べてくれました。なるほどと思いました。金銭のことはこのような説明会では話さないことが多いのですが、こういう文脈で本校の会食をアピールしてみることは参考にしてみようと反省できた次第です。

 図らずもISOマネジメントシステムのPDCAサイクルのCとAを回して次の改善策を考えることになったようです。いうまでもありませんが、マネジメントシステムの考え方は産業界から教育界に導入されてきたシステムです。すでに本学園でも以前から導入しています。目的に向かって進んでいくためにPRAN(計画)⇒DO(実行)⇒CHECK(評価)⇒ACTION(改善)⇒PRAN(計画)とサイクルをまわして継続的改善を遂行していくことがマネジメントシステムの核心です。教育活動もPDCAサイクルという概念を知る前からまさにそのように営まれてきました。この概念が教育界にすっと定着したのも故なしとしないでしょう。

 ちょうどこの2日前の木曜日、朝日新聞朝刊に大阪橋下市長の教育改革に関して読者の反響が掲載されていました。そこに「学校の管理をマネジメントではなくコントロールで行なって、がんじがらめのルールを厳密に守らせようとすると、人は何も考えずに従うだけになります」とありました。そして、先に述べたマネジメントの本質が書かれていました。一言で大切なことを言ってもらった気がして、職員室の終礼でも当日紹介しました。

 また、以前から松山前校長先生は、PDCAの特にCの評価とAの改善を大切にしたいと私たちに指導してくださっていました。考えてみるに、今私にはその指導が、教師の主体性に関わっていると新しい見え方をしてきました。PDCAサイクルをらせん的に回していく原動力は当事者の主体性に関わっているということです。計画と実行は与えられたものでも言われた通りでもできるかもしれません。しかし評価と改善はそうはいかないのです。自ら進んで積極的、主体的に反省・考察して次はどうしたらよいかと策を練らない限り、サイクルは回っていかないのです。他の情報や考え方も評価と改善の中でこそ生かしていくことができるでしょう。本校の教師集団もさらに主体的なマネジメント集団になるよう切磋琢磨していきたいと思います。



聖徳大学附属小学校

校長   佐藤 幸雄

 

 連休中はいかがお過ごしだったでしょうか。私は、夫婦でかすが荘に行ってまいりました(「かすがの森」と名称が変更になりましたが、まだ、つい旧称で呼んでしまいそうです)。いつもお世話になっている館内の方も今年は遅いとお話しになっていましたが、桜が満開を迎えていました。こんなに周囲はソメイヨシノに囲まれていたかと驚くぐらいの桜花爛漫。「しづ心なく花の散るらむ」風情もよかったですが、急な雷雨で激しい雨に打たれた花片が一斉に舞い散る様子には、なんとも息を飲む壮烈な美しさを感じてしまいました。

 晴れた5日には、蓼科山も浅間山も青空をバックにしてその稜線を鮮やかに見せていました。どこかのスポーツクラブの小学生が何十人と水泳合宿にきていましたが、その泳ぎのフォームの完成度には日本の水泳指導の技術の高さが伺えると思いましたし、クロールの腕の伸びは、まるで浅間山の裾野のやわらかでのびやかな曲線のようでした。

 附属小の子どもが3組ご家族で来ていました。うれしいことです。運動会が終わって6月には校外学習で友達と来るわけですが、子どもたちは、お父さんお母さんにかすが荘のどんな思い出を話しているのかと想像したくなりました。

 卒業生が二十歳を過ぎて、同期の友達とかすが荘に行って来ましたという報告をよく聞きます。大人になると行ってみたくなるようですね。1年生の時からくりかえしくりかえし訪問するわけですから、見るものさわるものが子ども時代の思い出とつながっていくのでしょう。私には、毎年の望月校外学習の意味を考えるきっかけになった印象的な出来事を忘れることができません。

 あれははじめて6年生の担任をしていた時のこと、やはり今と同じ黄色のはとバスでかすが荘に向かっている車中でした。鹿曲川が見えると最後の直線道路になり、広い谷は視界がひらけ、かなたにかすが荘の三角屋根が見えてきます。そのとき一人の男子が「懐かしいなあ」と私の隣でつぶやいたのです。その言葉づかいが私にはおかしかったのですが、よく考えてみれば、6年生最後の校外学習を、その子はすでに卒業生のような感覚で経験していたのかもしれないと思いました。毎年同じ場所に泊まりにいくという学校行事が、一回の経験をただ一回に終わらせてしまうのではなく、経験の積み重ね、思い出のアルバムさながら思い返すように作用するのではないかと考えたのでした。

 大げさな思い込みかもしれませんが、ふるさとの感覚とはこのようにしてつくられていくのではないでしょうか。くりかえしくりかえしの経験が心に層となって残っていく。これはいつもいつもはじめての新しい経験では味合うことのできない感覚を呼び覚ますでしょう。ふるさとの感覚は、自己の過去を肯定する心です。自分を受容する心理だと考えます。自分を受け入れられたとき人は心が安定します。そして自己の安定・安心な心理状態は自己実現をとげる肥沃な土壌であるでしょう。心にふるさとをもつ子を聖徳学園は育てようとしているのかもしれません。しかし、新しい経験も大切ですので、校外学習でも毎学年その学年ならではのプログラムを組んでありますが、総体として望月の生活経験は、日本人として四季のめぐりを懐かしむふるさとの感覚につながる精神的行事ではないかと思うのです。どの学年でも子ども達が一番楽しみにしている学校行事です。今年も子どもの心に意義深い一回が写し取られていくように実施していきたいと思います。



聖徳大学附属小学校

校長    佐藤 幸雄

 

 4月よりはじめて校長という職をになう日々を送っているわけですが、公的に話す機会の多いことにあらためて驚いています。そこでは、教育者としての見識とこれまで培った自分の教師としての価値観、そして全体的な視野からのこれからの本校の進んでいく道についての状況判断に基づいた主張を、聞き手に説得的に伝えて納得してもらうことが求められています。その職責を果たし、児童の健全なる育成のために一回一回の機会を大切にしてきました。今月は、その中から1年保護者会と6年保護者会でお話しした中核となること、またその補足をして他学年の保護者の皆様にもご理解をお願いしたいと存じます。

 

 1年保護者会では、小学校生活でのわが子の成長を親としてどのように見守っていくかという観点から展開しました。補足も入れながら述べますが、二つの見方をバランスよく持って見守ってほしいということです。一方では子どもをかけがえのない存在として見ること。もう一方では子どもを少し高い位置から客観的な存在として見ることです。あえて区分けすれば、保護者の皆様に、親の見方と教師の見方の両方を心に分け持っていただければと申しました。子どもの成長過程は平坦ではありません。雨降って地固まるとか災い転じて福となすということわざがある通り、一つの経験は様々な可能性をもって未来に開かれています。皆様にはゆとりをもって懐深く子どもの成長を受け止めていただきたいと思っています。これを求めることは、私たち教師には逆の認識が必要だということです。目の前の子どもは保護者が自分の命よりも大切な存在であると思っていることを忘れてはいけないということです。

 

 6年保護者会では、中学校受験に向かう親の心構えについて、長年本校の卒業生親子をみてきて私が現在たどりついた考えをお話ししました。まずもって希望進路実現が目標で本校も全力をあげて取り組む約束をしました。その上で、中学受験の経験を本人の内的成長の上でも、親としての自己成長の上でも、家族としての絆の深まりを遂げていく方向でその意味を深くとらえ立ち向かってほしいと心から願って述べさせてもらいました。ご家族の歴史に中学受験の1ページが、お子さん誕生の1ページに継いで意義深くなることを祈りながら。

 

 ※5月21日(月)には、金環日食が東京近辺でも見られることはご存じの方も多いと思います。めったに出会えない自然界の現象ですので、本校でも希望者には観察できるような準備をしたいと思っています。といっても金環が見られる時間が児童の登校時7時30分頃の5分間だけであること、本校の観察器具も30個なので十分な対応ができないこともあることはご了承ください。また、報道などでも懸念されているように、登校中の交通事故や観察にも十分な注意が必要です。ご自宅で観察させたい保護者もいることでしょう。詳細はまた、後日お知らせいたします。さわやかな五月晴れになってほしいものです。



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