思わず大きく頷きました。夜遅くまで勉強する自分自身と、成果の上がらぬ思いを反省的にふり返って生まれた川柳ですね。知識や技能が力となって「身についた」と、夜食やカロリーが文字通り「身についた」を重ねているところが見事です。
　

作者は、50代〜70代の女性ではないかと想像しましたが、何と、お若い男性でした。通信教育に入学された作者が、ご自身と大きく年齢の異なる女性にお会いになって何かを感じられたのでしょうか。それとも、女性は作者のお母様でしょうか。いろいろと想像を膨らませました。学ぶ意欲をもち、生き生きと輝いている女性の姿は、凛として美しいものです。年齢を問わず、学習できる通信教育のよさを、うまく表現していると思いました。

スクーリングの名講義で頭一杯、やる気満々で課題レポートに挑戦。しかし、深夜12時半でうとうととうたたね。お茶入れに来た奥さんの呼び声「あなた」がサプライズに─　飛び起き、スクーリングと思い込み「ハイ、先生！」と答える、そんな姿が思い浮かびました。夫婦二人三脚の通信物語…だったらトホホもほほえましいですね。

科目終了試験の受験準備では、テキストやノートのキーワードや暗記場所の文面をくくったりアンダーラインを引きます。暗記したと思っても、すぐ忘れ、また暗記し直し、線や下線を重ね、引くたびに文面や余白が黒くなります。何十回くり返すと肝心の文章まで黒くなります。しかし、それは、「知」が自分にしっかり定着したうれしい証拠なのです。川柳のようなトホホな経験をしたしげのりさんには、きっとたくさんの「知」がつまっていることでしょう。

勉強にしろ、仕事にしろ、人は何かを始めようとするときに、「さて、、まず準備から、、、」といって、よく「逃避」します。誰もが思い当たる逃避行動を、あえて「なぜか」と表現することで、読む人を「そうそう」とうなづかせます。
　

食事・洗濯・掃除・買い物など、挙げればきりのない家事に毎日励みながら、子育ても、自分育てもしておられる作者だろうと想像しました。食事や片付けを済ませ、お子さんを寝かせたら一日の疲れが出て、ご自身も休みたくなる時間でしょう。気持ちを奮い立たせて本を開いたら、お子さんの声・・・。自分の時間を作るむずかしさがあり、計画通りに進まない学習状況が想像できます。「頑張って！」とエールを送りたいと思います。

誰にも覚えがあるのではないでしょうか。食べたいというより、目の前のチョコに手が伸びてしまうのですよね。チョコを食べる瞬間、口に入れ、ちょっと満足して、チョコと一緒に噛みしめている単語。そして、また、新しい単語を覚えていく。単語を覚えた自分へのご褒美ですね。小さな満足が、チョコとともに、大きな満足に繋がっていくことでしょう。学業の成果が楽しみです。

学校の先生や社会人が決まって言う言葉が｢勉強はいつでもできる｣｡でも､それは幻想や思い出話にしか過ぎないことを痛烈に皮肉りながら､人間が「いかに自分自身に甘いか」を自虐的に語っています｡多くの人が共感することでしょう。では､本当のところ､勉強はいつやるか？｢今でしょ！｣｡