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女性キャリア教育

特別な教育課程
「女性キャリア」
の創設にあたって

文部科学大臣指定 教育課程特例校

聖徳学園の取り組んできた女子教育

聖徳大学附属取手聖徳女子高等学校は学校法人東京聖徳学園により昭和58年4月に、同取手聖徳女子中学校は昭和59年4月に、女子の中等教育機関として設置されました。学校法人東京聖徳学園の起源は、昭和8年に東京市大森に設立された聖徳家政学院ならびに新井宿幼稚園に遡ります。爾来一貫して女性教育の必要性と重要性を訴え、子どもと幼児教育者の育成、そして将来母親として、家庭内の最初のかつ最大の教育者となる女性の教育に、力を入れてまいりました。

本校も開校以来、週1時間「小笠原流礼法」(鎌倉以来の武家礼法である小笠原流を基盤に、現代にも生かせるマナー・所作を学ぶ時間。心と形が融合した美しい作法の習得が目標。)を正課として取り入れるほか、食育を重視し、全生徒と全教員が一堂に会して昼食をとる「会食」を実践してきました。また、感性を高め、日本の伝統文化についての理解を深めることができるよう、中学・高校6年間を通じて、週1時間、「書道(書写)」に取り組ませております。これらの教育活動全般を通し、清らかな気品と豊かな知性・情操を兼ね備えた、進んで社会に奉仕できる女性の育成を目指してまいりました。

子どもたちを取り巻く社会の変化

近年、社会情勢は大きく変化しています。高度成長期、我が国では一問一答式の知識量と、その処理スピードが重視され、求められたことに的確に対応できる能力を伸ばすことに、力を注いできました。しかし、バブル崩壊後、価値観は多様化し、望ましい将来像の構築が困難な社会となりました。混沌とする社会を生き抜くために、高い問題解決能力が求められるようにもなりました。もはや、「答えの出ない問題に答えを出すことを求められる時代となった」といっても過言ではありません。

伝統ある女子教育は普遍的な目標です。その不易の価値に加え、激動する現代社会に対応する力を育てていきたいと考えております。社会と協調し、他者と共生しつつ、自己の価値観を構築する能力を身につけ、自己の将来像を自分自身で描き、その実現に向けて歩んでいける女性が求められているのです。

女性をとりまく社会環境も急速に変化をしています。男女の雇用機会の均等や男女共同参画社会の推進を背景に、女性の活躍の場はますます広がることでしょう。また、少子高齢化や長引く不況、団塊世代の一斉退職などを背景に、これまで以上に、女性の社会貢献力に期待があつまるようになることは確実であると言えます。女性自らが選択し、自己のしあわせな生き方を求めることができる時代なのです。しかし、生徒自身やその保護者の中には、「女性だからこれくらいでよい」と、自己の将来の目標に「壁」を作ってしまう者も少なくありません。この壁、すなわち女子が潜在的に持つ、自己の可能性を抑制する心理を打破しなければなりません。そして、女性が自由に自らの将来を選択できるようにするためには、女子校における女性のための女性教育、すなわち「女性キャリア」領域の新設が不可欠であると考えます。

普通の女性が管理職になるのは難しいと思うか

男性よりも女性のほうが、女性のキャリアアップについて否定的な考えを持っていることがわかる。この意識が大きな「壁」であり、打ち破っていかねばならないと考える。

固定的性別役割分担によって、自分の希望とは違う選択をしたことがあるか

「自分の希望と違う選択」をすることのは、男性より女性のほうが圧倒的に多い。

共学化する日本とアメリカなどの別学化

現在、我が国では、少子化のあおりを受け、共学化する女子校が増えています。しかし、男女は同権であっても同質ではありません。男女を同質と考える画一的な教育では、男女固有の特質を伸ばすことはできません。近年、欧米では男女別学のほうが能力の開発にふさわしいとの考え、別学のメリットが見直されてきています。男女共学校では、意図せずして男子・女子の両方に、強力な性のステレオタイプを強制する可能性があります。一方、別学の学校では、性差よりも個々の生徒の能力に応じた対応が進み、効果的な学習指導や適切な進路選択がなされているとの研究結果もあります。アメリカでは2002年に新しい法律ができ、公立校でも男女別学が認められるようになりました。1995年には全米でわずか3校だった男女別学教育の導入校が、2005年には250校を超え、更に増加しています。そして現在では、全米で500校以上の公立校が男女別学クラスを取り入れ、成果を上げています。また、ヒラリー・クリントン現国務長官、全米の初の女性国務長官であったマデーレ・オルブライト氏の出身校として知られるリベラルアーツカレッジ Wellesley Collegeなど、欧米では女子校が高い評価を受け、多くの優れた女性のリーダーを輩出しています。女子校出身者の女性の方が共学校出身の女性よりも生涯賃金が高いとの統計もあります。

女性の社会進出と日本の現状

我が国でも年を追うごとに、女性の社会進出が進んでいます。しかし、国連開発計画(UNDP)が公表している「ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)」にも表れているように、経済活動や政治活動において、女性が積極的な役割を担い、意思決定に参画しているとは言えません。『人間開発報告書』によると、基本的な人間の能力がどこまで伸びたかを示す指標である「人間開発指数(HDI)」は、182か国中10位であるにも拘らずGEMは109か国中57位と低い数字を示しています。国連女性差別撤廃委員会は、その勧告の中で日本政府を批判し、是正を強く求めています。この勧告を受け、日本政府や各自治体も積極的に、「男女共同参画社会」の実現に向けて進んでいますが、日本社会の変化は遅く、国連開発計画の発表するGEMの順位は、2002年の32位から下降し続けています。このままでは、日本は世界の中で取り残されてしまいます。しかし、この数字は見方を変えると、我が国において女性が社会で活躍する余地が、勧告を受けるほど残されていることを示しています。チャンスは平等に与えられています。努力すれば、夢を実現することは可能なのです。

HDI、GEMにおける日本の順位の推移(日本順位/測定可能国数)

キャリアの豊かさとは、仕事で成功して偉くなることだけではありません。「キャリアとは職業的成功であると考え、管理職になれない人は敗者である」とするキャリア観は間違っています。私たちは、男性に伍してエンパワーメントを目指す生き方のみを是とし、上昇志向の強い女性を育てたいわけではありません。「男性並み」の働きや「男勝り」の女性を増やしたくはありません。幸福で豊かな人生の選択肢、それは多種多様です。幅広い選択肢の存在に気づき、それぞれの価値を認めることのできる女性を、他者を尊敬し、他者と尊重しあえる女性を育てていきたいと考えています。

特別な教育課程「女性キャリア」の概要

「女性キャリア」は、生徒一人ひとりの可能性を追求し、知性と気品を兼ね備え、自立した美しくしなやかな女性、更には、社会に貢献しうる意欲と資質を身に付けた女性の育成を目指しています。社会で活躍できる人材を育成するためには、社会とかかわる活動、職業や自己の将来にかかわる活動など、さまざまな体験活動に積極的に取り組ませていく必要があります。また、プレゼンテーションやポスターセッション、グループ討議など多彩な言語活動を組み入れるとともに、問題の解決や探究活動にも積極的に取り組ませていきたいと考えています。

「女性キャリア」は、少人数のグループワークや学級・学年活動、時には中学・高校連携した全校的な活動、系列の大学との連携等、多彩な集団での活動と、多彩な形態で学習を進めます。また、生徒の自主的、実践的な活動を進める中で、生徒が自らの力で組織を作り、活動計画を立て、協力し合うことが求められます。生徒同士や時には異年齢集団での諸活動を設定し、好ましい人間関係やよりよい集団生活を形成するのに必要な、社会的なスキルを学ぶ場を設けることも必要です。

また、「女性キャリア」の指導においては、担任や教科担当教師にその担当を限定せず、中学・高校連携した全校的な組織の統括のもと、教師全員であたります。附属の大学との連携、家庭や地域等との連携、社会教育施設等の活用、外部講師の招聘等、さまざまに工夫することにより、より効果的な展開につなげることが可能となるでしょう。本校の誇る多くの卒業生たち、そして、多彩な分野で活躍されている保護者の皆様にもご協力をいただき、より多くのロールモデルを提示していきたいと考えています。生徒たちはたくさんの「気づき」を得て、自らの将来像を作り上げることに繋げていくでしょう。自己の生き方や将来の職業について考えることは、各教科の学習に対する興味・関心にも深く結びついています。そこで、「女性キャリア」と他のすべての学校教育活動とが、相関性をもって展開できるよう配慮して進めてまいります。

「女性キャリア」の目指すもの

女性キャリア」は、発展途上のカリキュラムです。明確なゴールを設定することはできません。しかし、生徒と教師が真剣に向き合い、それぞれの生き方を見つめていきたいと思います。幸福で豊かな人生を求め、真摯に努力を続け、前進し進化するプログラムでありたいと考えます。

私たち、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校は、全国初の女子に特化したキャリアプログラムを実践していくに当たり、ここに宣言いたします。本校で学ぶ生徒一人ひとりが自己の可能性を信じ、多様な将来の選択肢の中から、それぞれの意志で進む道を選択していく。そして、その実現のために真摯に努力を続けていく。私たちは、本校での教育活動全般を通して、そんな当たり前のことが、当たり前にできる環境を作ります。そして、生徒一人ひとりがそれぞれの幸福な未来に到達できるよう、共に悩み、共に考えてまいります。

このプログラムは、即効性の効果を示す場合も示さない場合もあります。しかし、生徒個々の長い人生において役立つ、大切なものをたくさん得られるプログラムであると信じます。「気づき」を「成長」・「自立」に繋げ、生徒たちが「どう生きていけば幸せになれるのか」の答えにたどり着けるよう、教職員一同、日々、創意工夫を重ねてまいります。

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