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教員紹介

白鳥はかなしからずや ~若山牧水の見た情景は?~ [ 望月 美紅 ] 








こんな短歌が中学2年の国語の教科書に載っています。






白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ  若山牧水





白鳥は「しらとり」と読みます。




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若山牧水は、旅を愛した歌人です。

教科書では、「旅の歌」として紹介されていました。






だいたい、こんな意味です。



白鳥はかなしくないのだろうか。空の青、海の青にも染まらずに漂っている。



※かなしからずや、の「や」を疑問ととるか反語ととるかでニュアンスが変わります。

反語ととれば「かなしくないのだろうか、いや、かなしくないはずがない」と意味合いが強くなります。

授業では疑問の用法(「かなしくないのだろうか」)として解釈し、読解を進めました。






そして、こんな課題を出しました。






牧水が見た情景を、絵にしましょう。










****************



短歌は別名「みそひともじ」といいます。

たった三十一文字しかありません。

少ない文字数だからこそ、ひとつひとつの言葉を大切に、イメージを膨らませていくことが重要です。




白鳥はかなしからずや

空の青海のあをにも染まずただよふ



絵にするのならば、細かいところまでよく考えなければなりません。


若山牧水はどこからこの景色を眺めたの?

「空の青」「海のあを」って、どんな色?

「白鳥」ってどんな鳥?

「白鳥」はどんな姿で何をしている?

「白鳥」は何匹いる?


そんなことを意識し、短歌の言葉を手がかりに、一枚の絵を完成させてもらいました。

もちろん、一人一人、異なる絵ができあがりました。

それらをもとに、みんなで深めていきます。




絵は15分ほどで仕上げてもらいました(みんなもっと描きたそうでした)。

テレビや全員のiPadに配信し、意識したポイントを発表してもらいました。(撮影:三橋先生)

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******************



○「白鳥」は、飛んでいるのか いないのか

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生徒の描いた絵を大きく分けると、「飛んでいる」か「浮いている」かの2パターンでした。

(飛んでいる鳥を描いた生徒が7割、浮いている鳥を描いた生徒は3割でした)


・・・・・・どちらが正しいのでしょうか。


もう一度、牧水の短歌をみてみると、


白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ



白鳥は「ただよふ」のです。

この言葉について辞書をひいてもらうと......




「ただよふ(漂う)」

空中・水面にうかんで、ゆれ動く。(旺文社標準国語辞典)

水面や空中に浮かんで、不安定な状態で揺れ動いたり、水の流れや風の向きに従って分からないほどのゆるやかな動きで移動したりする。(新明解国語辞典)




つまり、飛翔のイメージでも、水面に浮いているのでも、どちらでも間違いではないようです。




******************



○「白鳥」は、海のカモメか ハクチョウか


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「白鳥」の種類についても生徒の解釈が分かれました。


「海にいる白い鳥といえばもちろんカモメだよ」派と

「読み方のとおり、ハクチョウが漂っているんだよ」派。



ちなみに、カモメを描いた生徒の場合、飛んでいる絵がほとんどでした。

ハクチョウの絵は、飛んでいるものもあれば、浮いているものもありました。

鳥の種類によって、漂い方も変わってくるのかもしれません。



ところで、若山牧水が最初にふったルビは「はくてう」だったそうです。


これがハクチョウなのか、白い鳥一般を指すのかは断定できませんが、

今回は、どんな鳥であっても、白い色の鳥であれば、OKにしました。



鳥の種類よりも、この歌の場合は、青と白という色彩の対比が重要かと思われます。





******************



〇白鳥は、かなしや それとも かなしからずや





この短歌には、「白鳥は悲しくないのだろうか」という作者の思いが詠まれています。


ところで白鳥は、本当に悲しいのでしょうか。

悲しいとしたら、なぜ、悲しいのでしょうか。






文脈から判断すると、


空の青 海のあをにも 染まずただよふ

ことに対して、「悲しくないのだろうか」と牧水は思ったようです。






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周りの美しい青に対し、鳥だけが真っ白。

染まることができず、ただようだけ。


牧水も、その姿に自分を重ねたのでしょうか。



白鳥も、複数描いた生徒と、一羽だけ描いた生徒とに分かれました。

一羽だけ描いた生徒は、発表の中で、「そのほうが孤独感が増すだろう」ということを話してくれました。






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「染まずただよふ」ことに対し、白鳥自身も「かなし」く思っているのだと解釈した生徒は、涙を描き足しました。

白鳥も寂しいのかもしれません。

あるいは牧水の心配をよそに、気ままに漂っているのかもしれません。





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海や空に、あえて楽しそうなものを描き足してくれた生徒もいました。

色はもちろん、青い空や海にあるさまざまなものに、白鳥は加わることができず悲しい、という解釈でした。








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「かなしからずや」と感じた牧水が、どこから見ていたのかについて考えてくれた生徒もいました。

海岸に面した通りから、空と海全体を遠く眺めていたと解釈した生徒もいれば、

牧水は船に乗っていて、近くで見た白鳥が印象的であったのだと解釈する生徒もいました。










「こういう言葉が使われているから、こうだろうと考えた」

と根拠をもって描いたのであれば、全員、課題クリア!




今回は、この歌一首のみから、たくさん想像をしてもらいました。


ほんとうに、もっと突き詰めるのであれば、比較対象が必要です。

たとえば、海や空や鳥について詠まれた牧水の短歌を、よく分析しなければなりません。

何歳のときの歌なのか、牧水の来歴はどうなのか、詳しく調べれば解釈が深まるでしょう。

似た語句やテーマについて、同時代のほかの歌人の用例も調べると、何か見えてくるかもしれません。

近代に限らず、いろいろな時代の用例を調べても面白いかもしれません。

ほかの人の考えを知るには、さまざまな文献にあたる必要があります。



文字数が少ないからこそ、短歌は複数の解釈ができてしまう場合がありますが、

そこに、考える面白さもあるのだと思います。



もしこういうことを考えるのが好きであれば、

ぜひ、卒業研究のテーマにしてみてください。



言葉の研究は、どこまでも奥が深いなあと、おもいます。



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