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校長室だより

2016年6月の校長室だより

平成28年度 学校だより 6月号

 

  礼法の世界を小学生で生きる幸せ

    ―創立30周年:附属小の教育を振り返る②― 

 

聖徳大学附属小学校

 校長  佐藤 幸雄

 

 附属小の教育を振り返る、第2回目は、やはり礼法を取り上げたいですね。礼法の聖徳、聖徳の礼法。学校教育に小笠原流礼法を正課として取り入れた日本で最初の学校。最初であるばかりではなく最高の質を現在でも誇れるほどの取り入れ方でした。礼法的な日本文化のよさを教育活動に取り入れている学校のことはよく聞きますし、見に行ったこともあります。しかし、それを知るにつけ見るにつけ本校の礼法のすばらしさに逆に気付かされます。まったく色あせていませんし、ますますその環境と6年間のカリキュラム(中高も含めれば12年間の教育課程になります)は世界に誇る「別品」的な教育だと自負します。それほど本物の本格的な導入でありました。中途半端ないいとこ取りではなく故川並弘昭先生の教育的洞察が、本質的な導入をしなければ子どもの姿を変えることはできないと判断された結果ではないでしょうか。

 

 先日、毎年シンガポール修学旅行で訪問する現地の南洋小学校の校長先生が本校を訪れました。李校長先生のたっての希望で礼法の授業を参観されました。4年生の障子の開閉の学習を参観・参加していただきましたが、それにつけてもその開閉に際しての昔の日本人の配慮の奥深さを実感します。所作の一つ一つにこもる他者への心づかい、思いやりの気持ち、自己の慎みや動きの美しさで周囲を不快にしない諸々の想像力は、日本人の感受性の繊細さや思考力の綿密さの現われだと感じました。

 

 特殊を突き詰めることで普遍に到達するという発想が、禅宗からの影響で日本の中世以来の「道」という考え方にはありますが、子ども達が学んでいる礼法の所作一つ一つは、大げさにいえば、思いやりという人間の普遍的な価値を所作という特殊な事例から学んでいるといえるでしょう。少なくとも、礼法の細かな動きの意味は、他の場面で応用できるだけの広がりを持ち得る力があります。

 

 そして、30年たっても少しも凛としたたたずまいを失わない格式ある礼法室。この本物の環境が子どもの感性に働きかける見えない教育力は大きいだろうと思うことが、ときどき寄せられる保護者のお話から感じられるのです。お伝えしたことがありますが、最近でも、親子旅行で老舗の日本旅館に泊まった時のいつもはやんちゃな兄弟の礼法的な振る舞いに、聖徳に入学させてよかったと直接私までお電話でその感激を知らせてくださったお母様。別の保護者からのお手紙では、進学した中学校の合唱祭で学級の指揮者になった息子のはじめの一礼が、会場中を一気に静粛にしてしまったことの驚きをしたためてくださいました。隣席の方から、さすが聖徳の卒業生ね、と指摘されてあらためて6年間学んだ礼法が、こういう公の場に生きて働いていることに誇りをもったという内容も加えてあったのが、そのお母さまの感じたことを素直に伝えてきました。

 

 カリキュラムだけでも環境だけでもここまでの影響を学齢期の子どもにもたらすことはできないのではないでしょうか。両者があいまって継続的に働きかけることでその心身にしみこんでいくのだと考えます。子ども達が将来、自分が学んだ礼法を振り返ってどう思うのでしょうか。私としましては、生まれた国の優れた文化に直に触れる経験をしたことの誇りと知っていることの安心感、伝統に生きることの安定感を感じるような大人になってほしいと願うのですが。

 

*別品とは...「むかしの中国では、品評会などでの入選順位を、一等・二等・三等...ではなく、一品・二品・三品...と呼んだ」そうです。「で、その審査のモノサシでははかれないが、すぐれて個性的なものを『別品』と呼んで評価したという。...世界で一位とか二位とか、何かにつけてそんな順位を競い合う野暮な国よりも」「『別品』の国がいいし、この国にはそれだけの社会的・文化的資産もある。」

 この評論家故天野祐吉氏の文章を読んで、私の心にはすぐ本校の特色的な活動が浮かびました。礼法・会食・明和班活動。これらはまさに子どもの心を育てていく他校とは順位のつけられない本校の「別品」だと。そして、これらの文化的・教育的資産をもつ本校のなんというありがたさか。これらの別品は必ず世界に通用する。               (聖徳学園「学園報」平成26年度新年号:私の掲載文より)

 





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