HOME > 学校生活 > 校長室だより

学校生活

  • 施設・設備紹介
  • 教員紹介
  • 登下校対策・安全対策
  • 年間行事
  • 放課後スクール
  • 制服ガイド
  • 校長室だより
  • 教員研修日誌
  • 校内ギャラリー

学校生活

校長室だより

2017年2月の校長室だより

平成28年度 学校だより 2月号

 

伝授と発見と

    -多様な学習形態のなかで育つ子ども達- 

聖徳大学附属小学校

 校長  佐藤 幸雄

 

 子ども達を人間的に全面的に成長させようと意図するところから、本校の教育がさまざまな場面で対となる活動が組織されていることはこれまでも紹介してまいりました。礼法と明和班活動しかり、協働の学びと自律の学びしかり、教科学習と学校行事しかり。

 3学期も校内研究を推進していますが、最近の授業研究を通して、授業としての協働の学びのなかに対となる活動が行われていたことにあらためて気づかされたことがありましたので、そのことをご紹介したいと思います。

 

 1月に礼法専科の見神先生と1年担任の菊地先生の授業研究がありました。見神先生は41組の礼法で「襖の開閉」を授業公開し、菊地先生は11組の算数で「ずをつかってかんがえよう」の授業を見せていました。

 

 結論から言いますと、礼法の伝授型の学習と算数の発見型の学習が1週間の時間割のなかに位置付いていることの意義深さを感じたのでした。両者の教えたい内容は教師の胸にそれぞれあるわけです。しかし、その内容を子ども達に獲得させる方法に教科の本質に基づいた工夫があるのであり、礼法と算数とではその方法が対照的です。しかしそれは、対立しあうのではなく互いに補完しあうなかで学習形態のバラエティを提供することになり、子どもの学習意欲を更新し偏った脳の使い方を免れているのではないかと思ったわけです。

 

少し、二人の指導案を引用しながら考えてみましょう。見神先生の指導案から。

『<本時のねらい>

・指示に従って三手で障子・襖を開閉することができる。

・障子・襖の開閉をとおして、開閉に込められたお互いの心づかいを知り、相手に対する心づかいについて考えることができる。

襖はドアと違い、カギがかからない。開けようと思えばいつでも開けられるが中にいる人に敬意を払い、開けられるけれども開けないという暗黙の了解があった。更に、開ける際も一度に開けきらず、三手で開ける。一手目は「ここから入ります」と相手に伝えるだけのほんの少しの隙間、二手目は自分の体の中央まで。部屋の中にいる人の姿はまだ見えないが、自分が部屋の中に入るスペース上に荷物等がないかの確認ができる。三手目でようやく自分が部屋に入るために必要な幅だけ開ける。ここで部屋の中で待つ人の姿を目にすることができる。例えば、部屋の中の人が相手を待つ間に多少足を崩して待っていたとしても、二手目までの間に姿勢を正し、部屋の中に入ってくる相手を向いて待つことができる。襖の開閉の際に主客双方に様々な心づかいがあることを知ることで、相手のことを考えて行動することの大切さとその心づかいに気づくことができるようになる。』

 

ここには、人への配慮の日本文化の粋が挙措動作に表れているように思います。実際に子ども達がこの行動を普段実行するかどうかはわかりませんが、知っているのと知らないでいるのとは大きなちがいでしょう。いざというときには生きてくるのです。ここでは学ぶ者は、集中による価値行動の100%受け止めが課されます。工夫の余地はありません。お手本をまねていくことが学習になります。私にはこの礼法の伝授の方法が、現在の子ども達に必要な時間であり経験であると改めて感じることができました。本物の礼法室、礼法師範の教員がこの伝授の教授を本物にしているのだと思います。

 

次に菊地先生の指導案です。

『<本時のねらい>

・(問題場面の数量関係をとらえるのに)図に表すことのよさに気付くことができる。

今年度、講師の長谷先生や一ノ瀬先生から子ども自身から「問い」を引き出す具体的な手立てをご指導していただいた時に、「こまった」「どうしたらいいのかな」という「問い」を子どもが自ら持つことができる教材開発が大切であることを学んだ。導入場面での「問い」は、既習内容とのギャップから生まれる。今までのようにやっていたらできない、間違えてしまうという場面を設定することで、新たな方法を考えていこうという主体的な学びにつながるのである。

そこで、発展問題として位置付けられている内容をあえて単元の導入として扱うことにした。これまでは、問題文に示された数をたすか、ひくかで答えが求められていたが、本時の問題は、問題文に表れている数だけでは解決できない。問題文から数量場面をイメージし、自分で数を補って式を立てていかなければならない。問題文を読んだだけでは気付きにくいものに取り組むことで、図に表す必要性が高くなる。教師が図をかくことの有用性を一方的に伝えるのではなく、子ども自身が「図に表すと分かりやすい」「図にかくと間違えない」などの図をかくことのよさや必要性を感じられるようにしたいという思いからこのような流れを考えた。』

 

 この指導案には、現在の教科教育が大切にしている学習方法を自分なりに咀嚼して、目の前の子どもたちに発見的に学び取らせたいと願う教師の姿があります。本校の協働の学びの核心ポイントでもあります。

 

 学習内容を子どもに獲得させる方法のちがいを感じてもらうことはできましたでしょうか。礼法の指導方法は、古来からの見て聞いて真似して身に付けていく歴史によって磨かれてきた伝授の方法。算数の方は、戦後G・ポリア(18871985)の問題解決の研究を基礎として日本の初等算数教育界が練り上げてきた発見法に基づいた方法。本校の国・算・社・理の4教科は、大枠で発見的な方法で学習を展開しています。それが児童の思考力・判断力・表現力を育成していくのに一番適切だといわれているからです。その発見的な学習のなかに伝授法の礼法学習が組まれているとき、かつては、封建的で絶対的な押し付けであるということから否定されていた伝授の習い事の方法が、とても新鮮に思えてきました。

 

 お互いが、それぞれのよさを発揮することで、響き合い補い合ってより価値の高いものを生み出していく。これもまた和の心そのものでありましょう。

 





校長室だよりのトップページ