〔特別展覧〕

聖徳大学人文学部外国語学科開設記念

外国語に訳された日本昔噺
−ちりめん本の美しさ−


            

                       ご あ い さ つ

 このたび、聖徳大学人文学部外国語学科開設にあたり、本学で所蔵している、ちりめん本の中から、英語をはじめ各国語に翻訳された「日本昔噺」を公開いたします。
 ちりめん本は、明治の初めから中頃にかけて我が国の童話や昔噺を各国語に訳して長谷川武次郎が発行した小冊子で、小泉八雲らが英訳したものも含まれています。和紙を利用したこれ等のちりめん本は、百年以上の年月を経てもなお劣化しないで、その印刷が極めて鮮明であり、そのあたたかさが感じられます。ちりめん本の持つ美しさもさることながら、この機会に各国語に翻訳された我が国の昔噺をとおして、相互の固有な文化を理解する一助になればと考えております。また、ちりめん本は児童文学を比較研究する上でも重要な資料として注目されております。
 明治時代という激動の時に、我が国は文化の欧米化(文明開化)と産業の近代化(殖産興業)を急速に進め、社会の基盤づくりを図りましたが、一方ではこうしたちりめん本を発行する事により、日本文化の海外への普及を図っています。そこには、お互いを尊重しながら理解を深めることが基本理念となっています。本学の建学の“和”の精神もまた相手を理解することが基本となっており、やがて創立70周年を迎えようとしております。
 この展示をとおして、国際的な相互理解がますます深まることを願っています。

平成14年8月

                                         学校法人東京聖徳学園理事長
                                        聖徳大学学長
                                        聖徳大学短期大学部学長
                                                    学園長 川 並 弘昭