桃太郎 桃太郎 もも た ろう
桃太郎


 桃から生まれた男の子を主人公にした物語で、その内容は川から流れてきた桃をお婆さんが拾い、その中から誕生した桃太郎が犬、猿、雉(きじ)を家来にして鬼ケ島へ行き鬼を退治し、宝物を持ち帰るとなっています。第二次世界大戦以後、児童の絵本などによって広く普及しましたが、犬、猿、雉を従える代わりに臼、蜂、栗、牛の糞などの助けを借りて鬼退治をするという「猿蟹合戦(さるかにがっせん)」に似た内容のものもあります。
 我が国で最も人気の高い昔噺の一つと言えるでしょう。
英語版(初版本)(15.0×9.6cm)
ディヴィッド・タムソン訳
1885(明治18)年9月発行
フランス語版(初版本)
(15.0×10.2cm)
エプラル訳
1886(明治19)年12月10日発行



猿蟹合戦










フランス語版(初版本)             (15.0×9.4cm)                 ドートルメール訳               1885(明治18)年11月2日発行
さるかにがっせん
猿蟹合戦


 猿が蟹から柿の種を騙(だま)し取り、蟹が栗、蜂、臼などの助けを借りて猿に仇を討つという、動物の合戦譚の一つです。
 明治中期の尋常小学校の教科書に収められている「猿蟹合戦」では、栗の代わりに卵となっていますが、明治後期以降になってから、卵から栗に変えられて現在にいたっているようです。ちりめん本では、表紙の絵からも分かるように卵が活躍します。同様な話は、アジアからヨーロッパにかけて幅広く存在しています。




かちかち山










英語版(初版本)                 (15.0×9.8cm)                 デイビット・タムソン訳           1886(明治19)年9月29日発行
かちかち山

 江戸時代に滝沢馬琴(1767-1848)の「燕石雑志(えんせきざっし)」の中に「兎の大手柄」という題名で有名になった物語の一つです。かなり残酷な内容にもかかわらず、勧善懲悪(かんぜんちょうあく)の教訓話として流布しました。
 「かちかち」という名は、兎が狸の背負った柴に火をつける時の火打石(ひうちいし)*1の音を、かちかち山のかちかち鳥の声だと偽って言うところからきていますが、ちりめん本の訳では脚注に説明があり、かちかち山だから音がするとしか書かれていません。

*1:火を起こすために必要な緻密で石英質な石



舌切雀











スペイン語版(初版本)           (15.3×10.6cm)               1885(明治18)年8月17日発行
したきりすずめ
舌切雀

 
 お婆さんが糊を食べてしまった雀を怒ってその舌を切ってしまい、その報いをお婆さんが受けるという物語は、昔噺によく見られるモチーフです。
 お爺さんが雀のお見舞いへ行く途中で、牛や馬の血、洗い水を飲まされるなどの様々な困難を乗り越えるという話がありますが、このちりめん本には書かれていません。

五大日本昔噺
 ふるくから語り継がれてきた昔噺の中で、「桃太郎」、「舌切雀」、「猿蟹合戦」、「かちかち山」、「花咲爺」は特に有名です。これらは一般に“五大日本昔噺”と呼ばれていて、我が国を代表する五つの昔噺となっています。