浦島太郎










フランス語版(初版本)              (15.0×10.1cm)                 ドートルメール訳               1897(明治30)年3月3日発行
うらしまたろう
浦島太郎

 日本の伝説、説話などの中で最も古くから記録されている物語で「万葉集」に書かれています。
 動物報恩、異郷への訪問、タイムスリップなどをテーマとする伝承的な昔噺として全国的に流布し、伝説となって浸透しています。近世では浄瑠璃(じょうるり)として、近代(明治43年)以降は国定国語教科書にも取り入れられ、演劇でも親しまれ、現代の絵本にもなって読まれ続けています。



因幡の白兎










英語版(初版本)                 (15.0×9.8cm)                  ジェームス夫人訳              1886(明治19)年12月発行
いなばのしろうさぎ
因幡の白兎


 「古事記」に書かれている物語ですが、当時の民話的、風土記的な説話と大国主命(おおくにぬしのみこと)の神話とが結びついてできた昔噺と考えられています。近代でも童話の素材としてよく知られています。登場するワニについては、現在ではワニザメではないかと言われてますが、ちりめん本ではワニとされています。
 小鹿や猿がこの兎と同様にしてワニを並ばせ騙して島に渡るという話は、インド、スリランカ地方に広く分布しています。もともとは南方系の民譚だったようです。




瘤取り










英語版(初版本)                 (15.0×9.5cm)                 ヘボン訳                   1886(明治19)年6月発行
こぶと
瘤取り


 顔に瘤のあるお爺さん二人が、鬼の前で踊り、その上手下手で瘤を取ってもらったり、余計に付けられたりする物語は、明治期の著名人でヘボン式ローマ字の生みの親でもある、ジェームズ・カーティス・ヘボン(ヘップバーン)(James Curtis Hepburn:1815-1911)博士により英訳された唯一のものです。
 ヘボンは、我が国で最初の和英辞書「和英語林集成」を編纂し、この辞書は日本語を学びたい外国人や英語を学びたい日本人に広く使われました。この辞書に使用されたローマ字綴りが後世にヘボン式と言われるようになりました。



俵藤太










英語版(初版本)              (15.5×10.5cm)                  チェンバレン訳                1887(明治20)年9月28日発行
たわらのとうた
俵藤太

 
 大きな百足(むかで)を退治した俵藤太とは藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の事で、朱雀(すざく)天皇(923-952)の時代の実在の人物です。
 この物語は明治期の我が国の近代的国語研究の開拓者となったバジル・ホール・チェンバレン(Basil Hall Chamberlain:1850-1935)が英訳しました。この他に「八頭の大蛇」、「海月」、「浦島太郎」などがチェンバレンによる作品です。チェンバレンは、「古事記」の英訳(1883)なども行い、北海道、琉球(沖縄)をはじめ、伊豆半島、箱根、松江、鹿児島など各地をくまなく歩いたことでも知られています。外国人旅行者のために「日本旅行案内」も発行しています。