児童学研究所主催 第13回子どもの発達シンポジウム 開催レポート

2019.4.25 更新 詳細レポート をUP しました

児童学研究所主催第13回子どもの発達シンポジウム


特別な支援(配慮)を必要とする子どもたちにどう向き合うか

~様々な立場からの提言~


 第13回子どもの発達シンポジウムを、2019年2月16日(土)に、「特別な支援(配慮)を必要とする子どもたちにどう向き合うか~様々な立場からの提言~」というテーマの下、3人の講師をお招きして開催しました。

 柏木明子さんは、メチルマロン酸血症という先天性代謝異常症をもつお子さんとの経験から、「病気を持ちながら地域で幸せに生きるために」と題して、お子さんが「自己選択」、「自己決定」、「自己管理」そして「他者に相談する力」をどのように育んでいくかについて提言くださいました。また、6疾患だけが対象だった2010年ころの新生児マススクリーニングに、より多くの疾患に対応できる「タンデムマス法」を導入するために、「先天性代謝異常症のこどもを守る会」を設立して、行政に積極的に働きかけたご経験をお話しいただきました。

 神山忠さんは、ディスレクシア(読字障害)という困難をもちながら、自衛官から特別支援教育者に転じたご自身の経験を語ってくださいました。私たちが何気なくメモする「たいことばち」が「太鼓とバチ」ではなく「鯛言葉血」に見えてしまう事など、たくさんの気付きを与えて下さるとともに、最新のテクノロジーによる「学習障害(限局性学習症)の子どもたちへの支援」のあり方を提言してくださいました。また、障害に限らず各人が異なる特性を持っているということを受け入れ、不得意な部分を互いに補い合いながら共に生きることを可能にするような学校や社会の在り方を示唆いただきました。

 中村みちるさんは、小児科医から少年院の医務官に転じた経験について、「君も立ちなおれる~少年院の、ハンディを背負った子ども達とともに~」と題してお話しくださいました。現在の少年院の入所者は、単純な非行少年ではなく、家庭的・資質的(被虐待体験・精神疾患)ハンディをもった子ども達であり、刑罰を与えるのではなく、「立ち直るための」正しい価値基準や自分の存在意義を知らせることが重要であると伝えてくださいました。少年院が立ち直りのきっかけを与えた具体例として、次のようなある少年の言葉を紹介してくださいました。「初めて信じることのできる大人に会いました。・・・ここで3つのことを学びました。感謝すること、人を思いやること、自分に負けないこと」。

  最後に50名を越える来場者を含めた全体討論を行い、活発な議論が交わされました。


詳細はこちらからご覧いただけます。