【開催レポート】児童学研究所主催 第15回 子どもの発達シンポジウム

児童学研究所主催 第15回子どもの発達シンポジウム

新型コロナウイルス感染症と子どもの傷害予防
 ~とくに保育現場の安全・安心をどう保証するか~ 


※詳細レポートPDFファイル

 第15回子どもの発達シンポジウムを、2021年2月6日(土)に、「新型コロナウイルス感染症と子どもの傷害予防~とくに保育現場の安全・安心をどう保証するか~」というテーマの下、3人の講師をお招きして開催しました。

 最初に「子ども主体の保育と子どもの安全~日本と海外の安全の概念と子どもの権利から考える」として、ジャーナリスト、明福寺ルンビニー学園幼稚園・保育園副園長の猪熊弘子先生が講演されました。

猪熊先生は、これまでの取材、研究や現場での経験から、日本と海外の安全の概念の違いやコロナ禍での保育現場における現状、問題、対策についてお話しくださいました。「保育でいちばん大切なことは、子どもの『いのち』を守ること」というキーメッセージと、最も気をつけたいのは「くう・ねる・みずあそび」プラス園外保育という、具体的な危険な時と場所のお話が印象的でした。

 2番目に「あなたも子どもの傷害予防のプロ『子ども安全管理士』になりませんか?」として、出口小児科(長崎県大村市)の出口貴美子院長が講演されました。

出口院長は、これまで過去2回、傷害予防をテーマとした子どもの発達シンポジウムで講演されており、3回目の今回は、地域に根差した科学的な傷害予防を推進するため、長崎県大村市でこれまでの事故データに基づいて作成された保育施設の危険地図の作成や子ども安全管理士講座の開設などの取り組みをご紹介くださいました。

  

 3番目に「保育者・看護師の視点・実践から考える子どもの傷害予防」として、聖徳大学児童学部児童学科の腰川一惠教授にご講演いただきました。

教育・保育施設における子どもの傷害の現状や松戸市内保育所における傷害予防対策の実例から、保育者・看護師の視点による具体的な傷害予防の方法を教えてくださいました。

 コロナ禍における保育現場安全・安心の保証については、最後のパネルディスカッションで3人の演者の皆さんからお話しいただきました。猪熊先生は「コロナは人と人との関係を絶つ病気であり、保育者は人と人とをつなぐのが仕事であるから、意識して『伝える』努力が必要である」こと、出口先生は「心のコロナ」とでもいうべき問題が生じていること、腰川先生は「登所再開のころに、子ども同士がぶつかるなど、体を動かすことが減ったことの影響の可能性」などをお話しくださいました。

 今回は、オンラインでの初の開催となりましたが、多くの方にご参加(ご視聴、ご質問)いただき、盛会のうちに終了したシンポジウムとなりました。